好きな作家の一人である森見登美彦氏の「四畳半タイムマシンブルース」を読みました。
京都の情景、京都の風情、そして全体的なドタバタ感から、楽しさがにじみ出ている
森見登美彦氏の小説が好きな理由は、「徹底して京都」「全体的に動いてる感」が伝わり小説にドライブ感があるからです。ですから、読んでいて飽きないし、先へ先へを読みたくなるのですね。
京都は、修学旅行で行ったことしかありません。でも日本人なら誰でも京都ってこんなところだよねと想像つきます。行ったことはあまりないけれど、僕たち日本人にとって、特別な都でもあるわけです。古風な街並みとか、昔ながらの・・というのがぴったり合いますし、京都の雅にちょっとした憧れさえも抱きます。
そんな京都を舞台に、お祭りだったりとか、大学の下宿先だったりとか、銭湯だったり、居酒屋、ビヤホール、鬱蒼とした森などが、まるで自分もそこに訪れたかのごとく、小気味のいい描写で読者を誘ってくれるのです。
四畳半タイムマシンブルースは、四畳半神話大系に繋がる
森見登美彦ファンなら、誰でも「四畳半神話大系」という名作を知っていることでしょう。
真夏の四畳半のアパートの下鴨幽水荘を舞台に繰り広げられる物語ですが、この「下鴨幽水荘」に集まる個性あふれる登場人物たちがそれぞれ魅力的なのです。
京都大学といえば、、、吉田寮ですね。下鴨幽水荘がなんとなくこの吉田寮にかぶるんですよね~。
ちなみに
実際、吉田寮の写真はネット上でたくさんありますので、是非見てみてください。時代を感じさせて、わくわくします。京都大学の学生さんたちが喧々諤々たくさんここで語り合って、さもありなん!きっと小説と同等、はたまたそれ以上のドラマが繰り広げられたことでしょう。
この「一つどころに集まる」設計が好きなのは、僕自身が夏目漱石の「吾輩は猫である」の大ファンだからかもしれません。
夏目漱石の「吾輩は猫である」においても苦沙弥先生の家に集まる、迷亭とか、水島寒月、越智東風、などの取り巻き連中に絡んだ物語がとても魅力的です。「吾輩は猫である」はもう何回も読んでいて、読むたびに魅力が増し、今では、こんな風貌でこんな声をしているのかな?ぐらいの勝手ながらの像づくりが出来ているぐらいです。
「吾輩は猫である」においてもちょっとしたドタバタ感が落語調でもあり楽しいのです。
だから、四畳半神話大系とか、今回の四畳半タイムマシンブルースの登場人物とか進行が非常にぴったりはまるのですね。
四畳半神話大系に続き、四畳半タイムマシンブルースが16年ぶりに刊行されたことで、当時の登場人物たちがまたまたドタバタ劇を繰り広げてくれることに感謝です。
まず、本屋さんで思わず手に取ってしまう、こちらのカバーのイラストですね!
こちらは、中村佑介というイラストレーターの方の作品です。なんとも楽しいイラストですよね。明石さんは、きっとリアルでもこんな感じの人なんだろうなという「どストライク」なイラストです。
そしてなんといっても読みやすさです。
森見さんの小説は、今、ほぼ全部読んでいるはずです。どれもが読みやすく、文体がしっくりくるんですよ。だから何回でも読みたくなるし、新鮮です。
フレッシュな風がふわっと吹き抜ける感です。
後味もいいし、途中の展開も楽しめちゃうので、飽きないんですよね。
前にも書きましたが、一番好きなのは、『聖なる怠け者の冒険』です。
こちらの続編が出てほしいなぁと思い続けています。『聖なる怠け者の冒険』は、僕の枕元にずっと置いてある大切な本です。もうボロボロなのですが、これも漱石同様何回も読んでいます。
そうそう、何回も読みたくなる本なんてありますでしょうか。
そして一生のうちに本をどれぐらい読めるのでしょうか。その中でも何回も読むということはどういうことでしょうか。
気に入ってるからですね。世界観がとてもしっくりくるからです。